静岡県職員を定年退職後に保育士の国家試験に合格し、保育園で働く「おじいちゃん先生」がいます。静岡市葵区の荒沢光利さん(67)。孫が生まれて育児を手伝ったことがきっかけで、働く保護者のサポーターになりたいと考えました。走り回る子どもたちを追い掛けて、毎日ヘトヘト。でも、園児の成長は何よりの生きがいです。4年前に保育士の国家試験を受けて、合格しました。保育士になろうと思ったきっかけは「孫育て」でした。

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 △出典:東京新聞

 公務員として40年近く、保健分野などを担当して働いてきました。現役時代、子育ては妻に任せきり。定年退職後、看護師の娘に初孫が生まれ、仕事に復帰した娘のために、保育園に孫の送り迎えをするようになりました。

孫が熱を出すたび、保育園から呼び出しの電話がかかってきます。育児の大変さが身に染みて分かり、保育園のありがたさを実感しました。子育てに関わってこなかった後ろめたさもあり、保育士として社会に貢献したいと思ったのです。とはいえ、当時は保育園と幼稚園の違いさえよく分かっていない状態。発達心理などを勉強し、学科試験に向けて毎晩、過去問題を解きました。

 実技試験は楽器の演奏があるのですが、大学生のころに弾いていたアコースティックギターを引っ張り出して、童謡曲を練習しました。2年がかりで国家試験に合格して、資格を取得しました。

 去年の4月から、県立総合病院の院内保育所「おひさま」でパートの保育士として働いています。約30人いるスタッフの中で、男性は荒沢さんだけ。新人のつもりで先輩の保育士から、学んでいます。抱っこなど足腰の筋肉を使うので、最初は体力的にきつくて、「1カ月持つかな」と不安だったそうです。仕事が終わって家に帰ると、疲れ切ってすぐに寝てしまいます。

 今は1歳児を担当していますが、食事の時間が一番気を使います。嫌いな食べ物がある子には、無理やりではなく、時間をかけてゆっくりと食べさせるよう心掛けます。荒沢さんは、子どもにギターを披露すると喜んでくれて、うれしかった、と語ります。

 「全国的に保育士不足が問題になっています。保育士の国家試験の受験資格に、年齢制限はありません。私のように、定年後、第二の人生で保育士を目指す人が増えてほしい。子どもの成長を見るのが生きがいになり、自分も元気でいられますよ。」